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みみとしっぽとドリルなトリックスターの日記、あとモンスターハンターF (Ver.1.2
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+もしも願いが叶うなら(7) ~カバ探その21~

 神の領域―――あらゆる時代においてその試みはなされてきた。それは無から生命を創り出すこと。かつて一大繁栄を極めた錬金術師も、時が流れ人が宇宙に足を伸ばすほどに科学が繁栄しても、魂を創り出すことは出来なかったのだ。

「どういう要件かしら」

 対峙したその姿は予想以上に若いが、おそらく遥かな時を生きてきたのであろう。魔女ラベファナはWizardでは無くカバリア島唯一のWitchなのだ。

「……ウイッチクラフトで生命を創り出すことは可能なのですか?」

 ラベファナはその問いにあっさりと答える。

「無理ね。人形ならともかく、生命―――魂を創り出すのは宇宙を一つ創り出すのと同じなのよ。かつての傲慢な錬金術師たちはそれを知ろうとしなかった。……解っていたはずなのに、それがどれほど恐ろしいことなのかを……」

 その話しが本当なら……では、アイスちゃんをこの魔女が産み出したと言うのは嘘だったのであろうか。そんな疑問を見透かしたかのようにラベファナは笑みを浮かべる。

「アイスちゃんのことなら違うわよ……あの子は氷の妖精の生命の源である、氷結した水晶から創り出したんだもの。……ただ、あの時はそれが無かったのよね……だから」

 言ってラベファナは氷の器で横になっているアイス君へと視線を向けた。まさか、とラベファナを睨む。

「私はただこの子の願いを叶えただけ。友達が欲しいという願いをね」

「だがあなたには止められたはずだ」

 いや、止めるべきだったのだ。己の命と引き換えに手に入れた友達に何の価値があるのだろうか。僅かな時を一緒に過ごすためだけに命を懸けるなど、果たして意味があるのだろうか。

「言ったはずよ、私は願いを叶えただけだと。……それにあなたになら解るはずよ」

 ―――わたしになら……解る?

「世界にたった一人だけという、孤独」

 はっと目を見開きラベファナを見る。―――あなたになら解る。一体この魔女はどこまで知っているのだろうか。いや、すべて知っているのだろうか……。

「……ラ、ラベファナ様」

 声の方に視線を下ろす。氷の器の中のアイス君がよろよろと起き上がった。

「ラベファナ様の力で……この赤いリボン深紅のリボンに染め直してください……」

 ラベファナを仰ぎ見るアイス君の身体は、益々弱まっているのが見て取れた。

「いいわよ。ただし必要な物が二つあるわ」

 ラベファナからは、アイス君の身体を気遣う素振りは微塵も感じられない。

「……必要な物……ですか?」

「一つはゴーストブルーに保管してある透明な絵の具だけど、これはちょうど今手元にあるわ」

 もう一つは、とラベファナはアイス君を見た―――そう、先程アイスちゃんを創り出した方法を説明した時と同様の眼で。
 思わず席を蹴って立ち上がった。この期に及んで目の前の魔女は、まだアイス君を苦しめるつもりなのか。

「……アイス君、もう帰ろう」

「もう一つは……何ですか、ラベファナ様……」

「もう……いいだろう、アイス君」

「……ラベファナ様」

 それよ、とラベファナは指を差す―――アイス君に。

「アイスちゃんの時と同じ物が必要よ」

 瞬間―――反射的に武器に手を伸ばす。だがラベファナが視線をこちらに向けただけで、身体の自由が利かなくなった。その眼が真紅に光っている。

「じっとしてなさい。決めるのは本人よ」

 そんなこと、とラベファナを睨み付ける。そんなことは解っている。解ってはいても……それでも。

「……お前は……人間じゃない」

「そうよ。私は魔女だもの」

 カバリアの雪の世界の魔女は問う。そしてアイス君は迷うこと無く答えた。

「お願いします」

「……アイス君」

 どうして……

「リボンなんて無くたっていいじゃない」

「どうしても……プレゼントしたいんです」

「その願いを叶えてしまったらもう……アイスちゃんには会えないんだよ」

「はい」

「本当に二度と会えないんだよ」

「はい」

「それでも……いいの?」

「……はい」

「……死ぬんだよ。アイス君」

「……はい」

「……どうして。そこまで……」

 もはやアイス君の決意に揺るぎは無かった。

「証です」

「証?」

「ボクが消えてもリボンが残れば、それが……ボクが生きた証になります」

 思わず息を呑む。―――生きた証。そして記憶は巡る、あの時の思いと共に。

 ―――誰か一人さえ生きていれば、それが我々の……生きた証になる。

 生きた証か……。静かに眼を閉じ、アイス君に笑みを向ける。窓の外には月が輝いていた。雪は月明かりに照らされ、まるでここが雲上に在るようにも思える。明日もきっと晴れるに違いない。

「……約束するよアイス君。リボンは必ずアイスちゃんに渡す、と」

 ありがとう、それがアイス君の残した最後の言葉だった。

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